麻雀について









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Photo by 李六乙戯劇工作室
Photo by 青木司
2003年『非常麻将』日本公演の舞台写真(青山円形劇場)
 
  麻雀は一種の娯楽、団欒、そして友好。

  麻雀は一種の災い、恐れ、そして死。

  麻雀は一種の叡智、歴史、そして文化。

  非常な麻雀はひとつの題材に過ぎず、

  もったいつけた陳腐な人生の真実を叙述する。

  そして、真実味を帯びたひとつの仮定でもある

  ―― "メンツが足りない"。

  3人は偽りの真実に狂気錯乱し、

  虚構の真実の中で懸命に取り繕い、相手を窺う。

  己が丹精込めて創り上げた真実を必死に尋ねる。

  真実は虚無であり、存在するのは恐らくただの影。

   影の魅力、影が限りなく生死に添える残酷なまでの美。

  歴史の批判、批判する現実。深い慈しみを胸に秘め…

  明日、明日はきっとより美しい。

  光であれ、影であれ、それは真実。

  明日は必ず存在する。             
李六乙

    
  ──『非常麻将』公演によせて


                        (訳:菊池領子)
李六乙氏の写真です
 プロフィール

中国で名実共に最高峰の劇団のひとつである北京人民芸術劇院(北京人芸)に所属する演出家。中国文化政策の開放の下、2003年からは北京李六乙戯劇工作室の名義でも自主製作、自主公演を行っている。1961年四川省成都生まれ。

 川劇(せんげき・四川省の伝
統劇)の俳優を父親にもち、幼少より伝統劇に親しむ環境に育つ。北京の中央戯劇学院で現代劇の演出を学んだ後、中国芸術研究院戯曲研究所に勤務。伝統劇の研究、演出を手掛ける。その後、北京人芸に移籍し現代劇の演出をすると同時に、外部の依頼を受け各種の伝統劇も手がける多彩な展開をしている。また、より自由な創作環境を求め、李六乙戯劇工作室を主宰。中国ではまだ始まったばかりの自己投資形式での作品制作も行う。彼自らが書き下ろした小劇場作品『非常麻将』(フェイチャン・マージャン)は2000年春に北京で1ヶ月以上に渡る満席状態を記録し、大きな話題を呼んだ。

これまでの演出作品には、単独演出の現代劇として『雨のち晴れ』『原野』『新北京人』等、林兆華氏との共同演出作品に『風月無辺』『万家灯火』等。伝統劇の演出として、川劇(せんげき)『セツアンの善人』、テレビや映画にもなった現代小説を評劇(東北地方の劇)にした『しゃべりや張大民の幸せな生活』等がある。

20018月に発行された『李六乙 純粋戯劇 戯曲集』(人民文学出版社)には、『雨のち晴れ』『非常麻将』他2作品が収められている。

現在は、年間5,6本の新作を発表するペースで演出を行っている。中国で最も多忙な演出家のひとりである。その作品は、大劇場、小劇場、また、伝統劇、現代劇を問わず、毎回斬新な試みに挑み、大きな論争を巻き起こしている。その試みにより、新境地を開いた俳優は多く、中国の俳優にとり最も栄誉ある賞である「梅花賞」の受賞者を既に4人輩出。伝統を重んじながらも時代を見据え、改革、前進を続ける演出に期待をよせ、組みたがる俳優は後を断たない。

日本では、2001年夏の「BeSeTo演劇祭」で『非常麻将』を上演したのをはじめ、「利賀フェスティバル2002」では、人間国宝である能楽師、観世榮夫氏や京劇の安鳳英(アン・フンイン)氏達を起用した日中コラボレーション版の『テーブルと椅子』、つづいて2002年夏の「東京舞台芸術祭」にて、現代昆劇『偶人記』を披露し、いずれも好評を得ている。2003年は、4面に観客を配した『非常麻将』を北京の初演以来初披露するのに続き、秋には、先の安鳳英(アン・フンイン)氏らと共に京劇を携えて再び日本の小劇場に登場する予定だったが、SARSの影響で計画が中止となった。


             (文責:菊池領子)
   

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